内部通報制度とは
内部通報制度とは、企業内・組織内の不正行為について、その早期発見・早期是正を図るために、企業内・組織内の窓口が通報を受け付ける制度です。通報窓口は、社内に窓口を設ける場合と、外部の法律事務所・弁護士などに委託して設置する場合、両者を併用する場合などがあります。内部的にはホットライン・ヘルプラインなどの名称で呼ばれることもあります。
内部通報制度の意義
近年多発する企業不祥事の例からも明らかなように、一旦企業不祥事が発生・拡大してしまうと、企業の存亡にも影響しかねない時代になってきています。組織が大きくなればなるほど、コンプライアンスを末端まで行き渡らせることは容易ではなくなってきます。大きな組織において、組織の隅々にまで目を光らせることはコストが非常に高くつき、現実的にも非常に困難です。他方、近時の研究によれば、企業の不正発覚の端緒は、内部通報が最も多く、内部監査などの他の手段を大きく上回っていることが明らかになってきています。内部通報制度の充実や実効性確保にコストをかけることは、企業にとっても有用なのです。
また、実効性のある内部通報制度を構築することは、企業・組織の風土にも大きな影響を及ぼし、風通しのよい活発な組織につながります。
内部通報制度を整備する必要性
このように、内部通報制度を整備し、それを適切に運用することは、企業不祥事を早期に発見・是正してコンプライアンスを図る観点からも非常に重要です。
そのような中、2016年12月に消費者庁の「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」(民間事業者向けガイドライン)が改正され、事業者は内部通報の受付窓口を社内に設けるだけではなく、社外にも企業から独立した窓口を設置することを求められるようになりました。そして、2022年6月からは改正公益通報者保護法及びそれに基づく指針が施行され、一定規模以上の企業については内部通報に適切に対応するために必要な体制整備が法律上も求められることになりました。このような外部窓口について顧問弁護士に依頼することは適切ではないとされており、これまで顧問弁護士に外部窓口を委託していた企業は、別の委託先を検討することが求められています。
弁護士による内部通報制度運用の有用性
このように、実効性のある内部通報制度の構築・運用は、非常に重要となってきています。しかし、十分な知識やノウハウがなければ、内部通報制度を実効性のある仕組みとすることはできません。
通報者は問題点を十分整理することができていないことも多く、また、コンプライアンス上の問題点と個人的な不満などを混同していることも多々あります。コンプライアンス上の問題点と個人的な不満などの入り交じった通報を単なる不満として処理してしまうと、コンプライアンス上有用な情報が埋もれてしまうことになりかねません。この点、弁護士は法律の専門家であり、生の事実から法的に重要な事実を抽出する訓練を受けているため、複雑に絡み合った情報の中から法的な問題点やコンプライアンス上の問題点を適切に抽出・整理することに長けています。
また、弁護士は法律上の守秘義務を負っており、機密が保たれています。そのため、企業内部の不正のような機微な情報が外部に漏れることはありませんし、そのことが通報しようとする者にとっても安心となり、通報を促進しやすくなります。
提供するリーガルサービスの特徴
内部通報制度に関しては、未だ専門的に取り扱っている弁護士はほとんどいないのが実情です。そのような中、内部通報制度に関連する法令に関して専門書や論文を執筆するなど、研鑽に努めてきており、高いレベルのリーガルサービスを提供できているものと考えています。
具体的には、内部通報制度に関しては、法律の専門家である弁護士としての立場から、内部通報制度の構築・運用に関する助言、内部通報制度の評価・点検、内部通報制度に関する内部規程・マニュアル等の整備、内部通報窓口(外部窓口)の運営、通報内容についてのコンプライアンスの観点からの助言、従業員・役員等に対する研修・講演、不祥事調査などの一連の法的サービスを総合的に提供しています。より実効性のある制度の構築のために、既に顧問弁護士のいる企業からの中立的な外部窓口の委託などもお受けしています。行政機関・地方公共団体などに対しても同様の法的サービスを提供しています。
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